ヒルドイドは刺激が少なく、副作用の少ない医薬品です。しかし、医薬品である以上、副作用が出る恐れもわずかながらあります。
このページでは、ヒルドイドの副作用や、副作用が起こる原因、ヒルドイドの禁忌や注意点について解説します。あわせて、剤形によって異なる、ヒルドイドの副作用の発生頻度も見ていきましょう。
もくじ
ヒルドイドの副作用の症状

肌に優しく刺激の少ないヒルドイドですが、副作用がまったくないわけではありません。
ヒルドイドクリームの臨床試験では、副作用の発生が確認されています。
副作用の種類と発生頻度

ヒルドイドの製造元であるマルホのWebサイトには、種類ごとの副作用の頻度が記載されています。
臨床試験の件数がもっとも多いヒルドイドクリームでは、0.93%の確率で副作用が確認されました。
ヒルドイドクリームの臨床試験は、全部で2,471件行われています。ヒルドイドクリームによって起こった副作用は、具体的には以下のような症状です。
副作用の種類 | 発生件数 | 発生頻度 |
皮膚炎 | 9件 | 0.36% |
そう痒 (かゆみ) |
8件 | 0.32% |
発赤 | 5件 | 0.20% |
発疹 | 4件 | 0.16% |
潮紅 | 3件 | 0.12% |
刺激感 | 2件 | 0.08% |
熱感 | 1件 | 0.04% |
副作用の症状を見てみると、命にかかわるような重大な症状はないことがわかります。
副作用でいくつかの症状が併発する

ヒルドイドの副作用による症状が単独で起こることは少なく、いくつかの症状が併発するケースが多く見られます。
たとえば、一番わかりやすい症状は蕁麻疹です。
ヒルドイドを塗った後、以下の3つの症状があらわれた場合は、蕁麻疹であると判断できます。
- 体の部位がほてって赤くなる(発赤)
- かゆみを感じる(そう痒)
- 皮膚に盛り上がっている部分がある(発疹)
このように、副作用は複数の症状が重なって起こります。
ヒルドイドの副作用の原因

ヒルドイドで副作用が起こる原因は、ヒルドイドの成分に対するアレルギー反応だと考えられます。
また、主成分であるヘパリン類似物質が血流を促進することで、かゆみなどを感じる場合もあります。
アレルギーで副作用が起こる

ヒルドイドを塗って肌に異常が起こった場合、成分にアレルギーを起こしていると考えられます。
アレルギー反応とは、異物に過剰な免疫反応を示すことです。ヒルドイドは本来なら肌によい薬ですが、体内では有害なものと勘違いされることがあります。
ヒルドイドに含まれる成分を異物とみなすと、体を守るために免疫機能が働きます。これにより、皮膚に炎症などが起こるのです。
アレルギー以外の原因でも副作用が起こる

アレルギー反応ではなくても、ヒルドイドの副作用が起こる場合があります。
考えられる原因は、ヒルドイドの血流を促進する作用です。
ヒルドイドに含まれているヘパリン類似物質には、血流を増加させる作用があります。加えて、血を固まりにくくする作用もあるため、血行がよくなります。
これらの作用により、肌に赤みを帯びたり、かゆみを感じたりといった症状が起こります。
これは、お風呂に入った時など、暖かい場所で血行がよくなった時の状態と同じです。そのため、副作用とはいえ、しばらくすると自然に治まります。
かゆみや赤みが長い時間治まらない場合は、アレルギーの恐れがあります。症状がひどい時は、医師に相談しましょう。
ヒルドイドの禁忌と注意点

ヒルドイドは、出血性疾患の人の使用は禁忌となっています。また、ヒルドイドを使って一度でもアレルギーが起こったことがある人は、使用を避けてください。
妊娠中・授乳中にヒルドイドを使った時の安全性も分かっていないため、使用の際は医師との相談が必要です。
出血性疾患の人は禁忌

出血性疾患の人は、ヒルドイドを使ってはなりません。
ヒルドイドには、血を固まりにくくしたり、血流の量を増やしたりする作用があります。そのため、出血性疾患の人が使用すると、少量の出血でも止まらなくなる危険性があるのです。
たとえば、血友病や血小板減少症、紫斑病などにかかっている人は、ヒルドイドを使えません。そのほか、少しの出血でも命にかかわるような症状になり得る人は、使用を禁止されています。
以前アレルギーが起こった人は使わない

以前にヒルドイドを使ってアレルギーを起こした経験があるなら、使用は控えましょう。
アレルギーは、一度でも発症したら完治することは稀です。そのため、一度ヒルドイドでアレルギーを起こした人は、再びアレルギーが起こる危険性が高いといえます。
ヒルドイドの主成分であるヘパリン類似物質の他、添加物でもアレルギーが起こる場合があります。
妊娠・授乳中の人は注意

妊娠中・授乳中の女性がヒルドイドを使って問題がないかどうか、今のところ分かっていません。
妊娠中や授乳中に懸念されることは、ヒルドイドを使うことで赤ちゃんに及ぶ悪影響です。ヒルドイドの成分の影響で、赤ちゃんの成長が邪魔される恐れがあります。
とはいえ、その決定的なデータはなく、危険だとも安全だとも言い切れません。
安全だと言い切れない以上は、できる限り使用を控えた方がよいでしょう。妊娠中・授乳中にヒルドイドを使いたい場合、医師としっかり相談してください。
赤ちゃんや子供の肌に、ヒルドイドを塗る分には問題ありません。
胎児はまだ未発達な部分が多いため、特に影響が出やすいとされています。
授乳婦さんの場合、乳汁に薬の成分が混ざる恐れがあります。そうなれば赤ちゃんがヒルドイドの成分を飲んでしまうことになるため、注意が必要なのです。
ヒルドイドの剤形ごとの副作用

ヒルドイドの臨床試験では、剤形によって副作用の発生頻度に差がありました。
ヒルドイドの種類と副作用の発生頻度は以下です。
【ヒルドイドの剤形と副作用の発生頻度】
ヒルドイドの剤形 | 副作用の発生頻度 |
フォーム | 3.3% |
クリーム | 0.93% |
ゲル | 0.63% |
ソフト軟膏 | – |
ローション | – |
副作用が発生したのは、ヒルドイドクリーム、フォーム、ゲルの3種類です。
ソフト軟膏とローションでは、副作用が確認されませんでした。
有効成分の配合量は同じなので、この差は添加物からくるものではないかと考えられます。
まとめ
ヒルドイドの副作用は、皮膚の炎症やかゆみ、赤みなどです。多くの場合は、いくつかの症状が併発します。
ヒルドイドで副作用が起こる原因は、アレルギー反応だと考えられます。他にも、血行が促進される影響で、肌のかゆみや赤みが発生する場合もあります。
ヒルドイドは、出血性疾患の人は使ってはいけません。また、以前にヒルドイドでアレルギーを起こした人も使用を避けてください。妊婦・授乳婦の女性も、ヒルドイドを使わない方がよいでしょう。
ヒルドイドは、剤形によって副作用の発生頻度が異なります。どの剤形でも、副作用の発生頻度は低いため、使用上の注意を守れば問題ないでしょう。