ヒルドイドには、傷跡をもとの綺麗な肌に戻す効果があります。肥厚性瘢痕やケロイドの治療薬としても、ヒルドイドは活用されています。
このページでは、ヒルドイドの傷跡への効果について詳しく紹介します。あわせて、傷にヒルドイドを塗ってはいけない理由なども見ていきましょう。
もくじ
ヒルドイドには傷跡を消す効果がある

ヒルドイドには、傷跡を綺麗に治す効果があります。
傷跡が形成される際に細胞の過剰な増殖を抑え、元の肌に近い状態に戻してくれるのです。
傷跡ができる原因とヒルドイドの作用

ヒルドイドは、傷跡の盛り上がりをおさえ、皮膚が綺麗に再生されるよう働きかける効果を持ちます。
ケガをしたとき、体内では傷を治すための機能が働きます。まずは血が固まって止血され、その後、炎症が起こります。
炎症が治まると、傷ついた部分を補うために、線維が形成されます。この過程では、「線維芽細胞」という組織をつなぐ役割の細胞が、コラーゲンを生成して傷を治していきます。
とはいえ、皮膚の下では大急ぎで傷を治しているため、最初から完璧に元の肌のように戻せるわけではありません。なんらかの原因で傷の炎症が長引くことで、コラーゲンが過剰に生成され、皮膚に盛り上がりができます。
これに対し、ヒルドイドの有効成分「ヘパリン類似物質」には、線維芽細胞の過剰な生成を抑える作用があります。
ヒルドイドは肥厚性瘢痕・ケロイドの治療薬

ヒルドイドは、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)やケロイドの治療薬です。
肥厚性瘢痕とは、傷が塞がっても、その上の皮膚が赤く盛りあがってしまった状態です。通常、肥厚性瘢痕は元の傷の範囲を越えません。
対して、ケロイドは、赤みや盛り上がりが傷の周辺にも及ぶという特徴を持っています。肥厚性瘢痕とケロイドは、ピアスや帝王切開など、さまざまな傷が原因となって起こります。
このように、深い傷によってできてしまった肥厚性瘢痕・ケロイドの治療にヒルドイドは用いられます。
しかし、症状がひどい場合は、ヒルドイドだけで治療するのは困難です。その際は、ステロイド注射やレ―ザー治療が併せて用いられます。
ヒルドイドは傷口に塗ってはダメ

ヒルドイドは、傷口に塗ってはいけません。傷口に塗ると悪化する危険性があるため、注意が必要です。
乾燥が原因で発生するひび割れやカサつきには、血が出ていない状態で塗れば効果を示します。
傷の表面が塞がった状態で塗る

ヒルドイドは、傷の表面が塞がった状態で塗りましょう。
ヒルドイドの役目はあくまで傷跡の回復です。塞がりきっていない傷口に塗ると、治癒を遅らせてしまいます。なぜなら、ヒルドイドは血液を固まりにくくしたり、血行を促進したりする作用を持つからです。
これらの作用は、傷口からの出血を助長してしまう危険性があります。出血性血液疾患のある人、わずかな出血で身体に悪影響が出ると思われる人は、特に注意が必要です。
ひび割れやあかぎれに塗る場合

ヒルドイドは、ひび割れに効果があります。
しかし、出血しているあかぎれには塗らないでください。
ヒルドイドはひび割れに効果的
ヒルドイドには保湿の作用があるため、ひび割れに効果があります。
乾燥した肌はバリア機能が低下しており、角質が剥がれやすくなっています。外部からの刺激に弱い状態なので、すぐに皮膚に亀裂が入り、ひび割れてしまうのです。
ヒルドイドは角質に水分を与え、持続的な保湿効果をもたらします。このため、肌の水分を取り戻してバリア機能を回復させ、ひび割れを改善できます。
出血したあかぎれに塗ってはならない
あかぎれがひどく血が出ている場合、ヒルドイドだけでは対処できません。
あかぎれが悪化すると、亀裂が皮下組織まで及び、血管が傷ついて出血します。ヒルドイドは、出血した傷口に塗ると悪化させる恐れがあるので、この場合は塗らないでください。
まとめ
ヒルドイドには、傷跡を綺麗に治す効果があります。線維芽細胞の過剰な生成をおさえ、皮膚の盛り上がりを防止します。
肥厚性瘢痕・ケロイドの治療にも用いられているので、傷跡を治す効果は信頼できます。
ヒルドイドは傷跡の治療に効果的ですが、傷口には塗らないようにしてください。ヒルドイドには血液を固まりにくくする作用があるため、開いた傷口に塗ると、出血が増えてしまいます。
傷が悪化する危険性があるので、ヒルドイドを塗るのは皮膚が修復されてからにしましょう。
ひび割れには効果がありますが、出血しているあかぎれには使わないでください。